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アーティストの作品集|私の小さな美術館|齊藤昌子

Client: 齊藤 昌子
Artist: 齊藤 昌子
Designer: 字と図|よしだすすむ
Photographer: 小山田 邦哉
Editor: 字と図|吉田千枝子
Printing: 藤原印刷

アーティストの作品集|私の小さな美術館|齊藤昌子

日本は長寿大国と言われている。が、私の住む都道府県は、その中で最下位である。
青森県だ。
その中で、ひときわ輝く80歳を迎えるアーティストから、仕事の依頼を受けた。

生誕80年を迎える周年記念に「作品をまとめたい!」とご要望で、
早速、作品集の制作に取り掛かった。

字子さん
字子さん
文章がまたいいのです。まさに昌子さんが喋っているような

作品にはたくさんの廃材が使われている。
レイアウトしてみると、全160ページ。作品ですぐに埋め尽くされる。

どうやら彼女は60歳を越えてから制作するようになったらしい。
その作品作りに対する姿勢、サイズ、ボリューム、熱量に圧倒される。
デザイナーとして40歳半ばを過ぎた私には、彼女から学ぶものがたくさんある。

ノラさん
ノラさん
デザインのポイントは何ですか?
図郎さん
図郎さん
今回は、特に黒子に徹するということですね。作品集はやはり作家のモノですから。作りたい方向性は、すでに作家の頭の中にあると思うんです。それをじっくり聴いて、整理していく。提案というよりも、選択を差し出すような感じ。決めるのはすごく早かったです。違うモノが敏感に分かっているんです。ですから、昌子さんの心に沿ってジャッジしていくような感覚でした

作品の一部を青森県内のレンタルキッチンSLOWさんで見ることができます。

字子さん
字子さん
実物の大きさを堪能してほしいです

流通しない書籍をつくる。

実は、これまで多くの「流通しない本」に携わってきた。 例えば図録。例えば社史(企業などのアニバーサリー書籍)。伝統的なスポーツクラブの本。例えば広報誌。などなど。 『流通しない本』ときいて、みなさんはどう感じるだろう。 「本屋で買えない」とか「手に入らない」などのマイナスのイメージがあるかもしれない。 しかしながら、私は「本の多様性」がそこには隠れている気がする。

今回の本をつくるお仕事も、まさにそれにあたる。
80歳という、人生の記念に作る書籍は、自分と自分に関わる他者への『手紙』のような存在だと思った。

こういう手紙のような本に、どんどん携わりたいと思った。
ローカルや、半径1kmみたいな、手の届く世界にこそ、大切なものが潜んでいると確信しています。

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