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[本を作るという仕事について]ジョージ秋山さんの死から思い出した事と編集とは

[本を作るという仕事について]ジョージ秋山さんの死から思い出した事と編集とは

ジョージ秋山さんが亡くなった。
銭ゲバ」や「アシュラ」など、センセーショナルな作品を描かれた方だ。
私の人生でもあまり接点がなかったのだが、大学生時代に少しだけ接点があったと思い出した。
当時(1994〜1998)、インターネットもない時代(まだポケベルが多く、携帯電話やPHSを持っている人はほとんどいなかった)、学生たちの間では、雑誌がコミュニケーションの場であり、情報収集も雑誌からが主だった。
様々な雑誌が乱立し、映画雑誌と一言で言っても、上映情報だけに特化したものから、俳優だけにフォーカスしたもの、制作現場を紹介するものまで、色々あった。
そんな時代だからか、血気盛んな若者も、自分たちで面白い雑誌作ってみるか! という軽いノリで作られたミニコミ誌なども多かった。
私が通っていた大学でも、「早稲田乞食」というサークルが出す雑誌があり、あの先生の講義は面白い、あの先生は単位楽勝だ、とかいう学内情報の他、「一ヶ月カロリーメイトだけで暮らすとどうなるか」などという、今のYoutubeのような思いつきおもしろ企画が誌面を賑わせていた。
そんな時代、当時お付き合いしていた方が、仲間たちとミニコミ誌を作ると言い出した。
全く手伝いはしなかったが、制作話だけちょいちょい聞いていた。
なんとジョージ秋山先生にインタビューに行くという。
まさかできるとは思ってもいなかった。
なんと「学生さんの頼みだから」と、快諾してくれたらしい。
こんな簡単に、すごい先生が取材に応じてくれるというのが、非常に驚いた。
ジョージ秋山先生、すごく良い方なんでしょう。
その取材内容は結構面白く、その後クイックジャパンに転載されたりしました。
(サブカルといえばクイックジャパン、、まだあるんですね!)

先輩からのご縁があり、私も学生時代に主婦と生活社でバイトをさせてもらっていた。
雑誌編集部ではなかったが、書籍編集部という部署。
当時、しつこいけど、インターネットがないので、デザイン事務所へゲラを持っていったり、どこかの国の観光局に観光用写真のポジを借りに行ったり、、東京の地図は、ほとんどバイトで覚えたというぐらい、色んな場所に行った。
一冊の書籍を作るのに、多くの人が関わっているということを知る毎日。
作った後も、営業の人が本を売る。
主婦と生活社の営業の方は、「出身地のどこ?」と聞き、すぐに書店名が出てくるくらい全国の本屋さんを知っていました。
青森の片田舎で育った私には、本屋こそが情報源だったわけで、私の行きつけの本屋さんを知っていてくれるのはすごく嬉しかった記憶があります。

それで、なんだか面白そうな仕事だなあ、と思った。
とはいえ、当時は就職氷河期真っ只中。
願った会社には就職できないのが当たり前だったので、あまり真剣に目指してはいなかった。
特に取り柄もなく、サブカルしか得意分野のない自分には、それしかできないような気がして、気づけばなんとかライター事務所と、東京ニュース通信社の下請けの契約社員の内定をいただいた。

 

私的サブカルがわかる書籍オススメ

▼ナゴムレコードの創立を援助したり、スチャダラパーを初めてメディアで紹介したことで有名な川勝さん。私が学生時代バイトでお世話になった編集者の方は「ゲンズブール・ナイト」を楽しんでいたが、このゲンズブールナイトを主催していたのも、川勝さん。テレビブロスの連載は欠かさず読んでいて、紹介してくれる映画や書籍、音楽など、チェックしまくっていました。まさかの火事で亡くなられてショックでした。

▼漫画家? 映画監督? ラッパー? よくわからない太めのおっさん、と言うイメージしかありませんでしたが、彼の書籍から溢れる愛に影響され、私も東映映画のファンになってしまったりしました。どうしようもない趣味嗜好でも生きていていい、と言う自信を分けていただきました。

ヤボテンとマシュマロ

▼テレビブロスのバックナンバーを読めば、サブカルがなんなのかわかる気がします。忌野清志郎や、ナンシー関などの連載もあったのよ。テレビ番組表はいらないけど、毎回購入してました。トイレや電車で読むのにちょうどよくて。。よく、ブロスのおかげで電車を乗り過ごしてました。

【Amazon.co.jp 限定】TV Bros.2020年6月号 TV Bros.総集編特大号 Amazon限定版

上の3冊は、およそ20年前に読んで楽しんでいましたが、現在読み返すと、正直言って何をあんなに楽しんでいたのか? 自分が信じられません。「こんなどうしようもない自分も生きていいかも」という勇気をもらったことは確かです。
今では、ロリータを語る川勝さんは、正直気持ち悪い。
杉作J太郎は、昔と変わらず気持ち悪いが、自分を過大にも過少にも評価しない姿勢が好き。
杉作さんのおかげで、「トラック野郎」にハマりました。

「男の花道」(「ヤボテン〜」に加筆したもの。少し削られている内容もある)

男の花道 (ちくま文庫)

ブロスの連載とか、、20年前のものとか、ほんと差別用語すごかったような。。。時代は変わった!

こんな感覚で生きていたんだ、という考証におすすめです。

ライターにいきなりなってしまうより、編集部で色んな人脈を築いた方が良いかと思い、「スカイパーフェクTV!ガイド」の編集部で働かせていただいた。
そして、めでたく社会人としての私がスタートできました。

転職などもさせていただき、色々な雑誌や書籍作りに携わらせていただくことができました。
「編集」という肩書きでお仕事させていただいた日々。
誰かの素晴らしい仕事を伝える為に、頑張ってきた気がします。
最終的には自分が好きでやっているんですが、完全な地味脇役です。
昨今、「編集者」や「エディター」と呼ばれ、プロデューサー的なかっこいい仕事と思われているような気がしますが、自分が目立ちたい方には向かない仕事だと思います。

現在、旦那と二人で「字と図」というユニットで仕事できていますが、編集もデザインもそもそも脇役の仕事。
これからも名脇役として頑張りたい所存です。

 


アシュラ 大合本 全3巻収録

早稲田乞食
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