さて、はじめに宣言しておきますが…
図郎さん
名刺って大切です。
みなさんは どんな名刺を使っていますか?
また、どんな名刺をもらったことがありますか?
さて、
『紙』そのものがフィルム状に透明であったり、
トレペのように半透明である紙は、みなさん既にご存知(見たことがある)かと思います。
しかーし、
……となると『?』な人が多いのではないでしょうか?
今回は、その不思議な紙を使ってデザインした名刺のお話です。
きっかけは、数年前に差し出された名刺でした。
それは、竹尾のスタッフの方と名刺交換した時のモノでした。
という、竹尾さんで取り扱っている紙で、
と思っていたんです。
それから早、数年が経ち…
『インパクトのある名刺をつくりたいんですけども、何かアイデアありますかね?』というご依頼をこの度、いただきました。
お、これはいいんじゃないかと思い立ち、頭の奥底からこのアイデアを引っ張り出してきたわけです。
パチカ/四六判Y目200kg
紙の厚さが3種類あり、今回は、真ん中のモノを使いました。
名刺には、ちょうどよい厚さだと思います。
薄い130kgの方が、より透けるので、効果的には面白いのですが、
圧をかけて押すので、薄いと加工後に紙がヨレてしまうんですね、
なので、どこか“頼りなく”また“心もとない”印象に仕上がってしまいます。
反対に350kgは、名刺としては厚すぎるので、名刺ケースなどに収納する際に、
かなり枚数不足に見舞われると懸念されます。笑。
いつも補充していないといけないですから大変ですね…。
透け感(透ける度合い)も紙が厚い分、透明感がモノ足りないですし…。
(でも、パッケージなどには面白いと思いますよ)
次は加工屋さんを探すの巻
さて、紙とデザインが決定すると、通常は『印刷会社』に入稿(データを渡して)して、というステップになるわけですが…
今回は、パチカの『熱加工』ができる会社を探さなくてはなりません。
実は、この特殊な加工ができる『技』をお持ちの会社が数えるほどしかありません。
いつも困った時に相談している竹尾さんに、尋ねてみたところ、
残念ながら『直接のお取り引きができない…』的なことでしたので、
自分で探してみることにしました。
関係協力会社の力も含めての企業力ですから仕方がありませんね。
竹尾さんにまるっと、お願いすることもできたのですが、
そうすると、仕上がり状態のものしか見ることができません。それではちょっと残念です。
こういう特殊ケースについては
というのがデザイナーの本音です。
良い機会なので、直接やりとりできる道を選択することにしました。
〓 凄腕の『箔押し印刷工房』コスモテック
そこで、ご縁があったのが、コスモテックさんでした。
まさにプロフェッショナルでした。
Webで検索して、実績例を拝見して、
早速、お電話すると、すぐに打合せの機会をいただきました。
そのひとつが、今回使用することになった『OKフロート』です。
なんと、こちらの紙、
パチカと同じ素材で作られた紙
なのです。
配合率が違うだけなんですよ、
と。
まさか、そんな紙が存在していたとは、つゆ知らず。
ちなみにOKフロートは平和紙業さんの取り扱い商品です。
竹尾さんではありませんのでご注意を。
熱が加わると透明化するパチカですが、
加熱部分が濃く見える特徴があります。
早速、クライアントにも提案することにしました。
結果的には、500枚全部をパチカで行うよりも、
半分ずつ、250枚をパチカ。250枚をOKフロートにした方が、
させることができました。
2つの名刺を使い分ける
『遊び』を付加する事ができました。
▽選んだ紙はこちらです。
OKフロート/ライトグレー/四六判 Y目 210kg
青木さんには、他にもたくさんの知識とサンプルを披露してもらい、
次なるアイデアの貯蓄になりました。
大変、勉強になりました。ありがとうございました。
ほほぅ。と頷くばかりでした。
こういう『学び』って、なかなか目や耳に入ってくるものじゃないんですよね。
調べようとして、意識を向けても出てくるものじゃないし。
会話の中で、脱線して辿り着くみたいな、
ことだなと思うのです。
だなと思うのでした。
(後編に続く)
わたしの信念のひとつに、一つの案件で何か新しい挑戦をひとつ。というのがある。これは昔、大学の恩師に教えてもらった、ある秀才の習慣。とはいえ、どんどんアイデアも枯渇していくので、インプットが必要になってくる。そのアイデアの源泉のひとつが『デザインのひきだし』である。地方にいると、なかなかに手に入れるのが難しいのだが、ぜひ一家に一台的な感じで、ひとりに1冊。全く知らない技術やアイデアを知る事ができます。これまでに40号がリリース。初めての人は、とりあえず、最新号から買うといいと思います。付録の量に笑うと思います。デザインのひきだし40