雑記

思考的なダイエットこそ最もカラダに響くかもしれないな(お盆中に考えたこと)

思考的なダイエットこそ最もカラダに響くかもしれないな(お盆中に考えたこと)

 
年齢が高まるごとに体重も高まっている。
あまり良くないことなのは、自分でも分かっているのだけども、少しずつ悪循環が増してしまっている。
 
それでも、年齢と体重が反比例したことがあったのは、
移住して間もない7年前の杜氏修業中の時だ。
 
それまでのデスクワークから一転。
単純にガテン系ワークスにシフトした事で、最大で11kg減量した。
 
そこから、またデスクワークに戻った事で、体重も戻ってしまった。
要は、いかに生活習慣が大いに関わってくるわけで。
 
そこに年齢の条件がのっかってくる。
同じ事をしていても、自分というカップから、水がこぼれにくくなる。
 
このままでは、命的にも、ダイエットされてしまうぜと、一念発起して、夫婦でプールに通い詰めるも、
順調に1ヶ月が経過したあたりから、コロナ騒動が勃発してきて、あれよあれよと…。
 
その後、散歩に切り替えたが、なかなか上手くいかない。
 
そんなこんな中、恒例のお盆シーズンが到来。
でも、いつもとは違う、イレギュラーなお盆であった。
ご多分に漏れず、withコロナ流。お墓にも『2人まで』という制限付きとなった。
 
今年に限っては『特例』中の特例なのだからさ。と、理解を世界基準の方へと寄せていこうと思えどども、お年寄りには、中々難しい所があるのかもしれない。お墓に入っている人の顔も鮮明だし、自分自身もお墓に近くなるわけだし。
人ごとではなくなってくる。
 
そんな中、常習的に聴いている高橋源一郎さんのラジオ番組(※1)から、戦争をテーマにした話が流れてきた。
お盆は、『終戦』の時期でもあるのだ。
実はこの時期になると、戦争をテーマにした特番を、この所毎年のように高橋さんは、やっている。
 
独自の切り方と編集で、高橋流の言葉が電波にのる。それが、歳を重ねるごとに、なんだか刺さってくるようになってしまって。しかも、高橋さんは何しろ『声がいい』のである。
 
そして、その日も、いつものごとく『本』が紹介された。
藤原てい 著『流れる星は生きている』
である。
 
戦争体験の話であるが、中でも『引き揚げ』にまつわるご自身の体験談が、赤裸々に綴ってある。
『引き揚げ』の話は、私も、子どもながらに祖母から聞いていた。
私にとっては一番の近親者であった祖母であり、両親のいなかった私の事実上の母であった祖母であったが、孫に詳細に語る内容でもなく、大きすぎる輪郭でしか、理解できていなかった。
 
『お盆』だし。
私は番組を聴き終えると、すぐにその書籍をネットで注文した。
『引き揚げ』とはなんだったのか、その真相を、真実を、祖母の代わりに聴く事にした。
 
読後感は、凄まじいものだった。
想像の100倍を超えていた。恐くて、恐ろしくて、悲惨で、切実で、リアルだった。
幼い子ども3人(当時4歳、2歳、0歳)を引き連れた母親が、よくぞ日本に帰ったなと思う。
 
それは、本当の凄まじさ。である。
引き揚げは、船に乗った1日だけの話ではなかったのだ。
 
私ならば、きっと途中で力尽きていたのではないだろうか。
体制や男の勝手な思想。(当時の日本が育ててしまった思考)
いざというときの、人間の恐さ。
母という生き物。それに単純にくくれない『藤原てい』という人間。
強さと脆さ。
関わってくる、そこで生きている人間の有り様が、肌が、呼吸が、伝わってくる。
 
…貴重な体験の告白本であった。
読み始めると、目が離せなくなった。
 
40代になるまで『戦争』について、たしなむ程度の事でしか、関われていなかったのだと思う。
この歳になって、ようやく咀嚼できる器になったのかもしれない。
 
遅かれ早かれ、この体験記は、触れておいた方がいい。
人間として、親として、子供として、日本人として、人類として。事実として。
 
今、生きている事、生きていく事について、
おそらく、今以上に謙虚になれると思うのです。
 
今年、最大の衝撃になりました。
 


流れる星は生きている (中公文庫)

 
※1: 高橋源一郎さんのラジオ番組「高橋源一郎の飛ぶ教室」https://www4.nhk.or.jp/gentobu/
かつて11年続いた『すっぴん』の継続的番組。お盆シーズンには特番として『戦争の向こう側2020』が放送された。
 
 
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