デザインを学んだ人なら、大抵、
“問題提起”する癖がついているはずだ。
そしてそれは、とても日常的に、癖になる。
去年のある日のことだ。
娘っこが、近くの公園に行きたいと言うので、
遊びに連れて行った。
そこは、東京では、まずお目にかかれないほどの広さの公園。
とにかく、広いし、眺めもよくて、緑の林に囲まれていて、
とにかくロケーションが最高なのだ。
そして、遊具がでかい。
大人のわたしが見たって、でかいのだから、
こどもの目線から見たら、それはもう、心躍るでかさだと思う。
こどもたちが、縦横無尽にかけっこしたとしても、ぶつかる心配もなさそうなほどでっかい原っぱに、
3階くらいはありそうな遊具が、ぽつんぽつんとある公園だ。
娘は、えらくその場所がお気に召したようで、
もう何回も訪れていた。
しかーし、私には、どうしてもお気に召す事のできないことが、ひとつだけあった。
“音”だ。
そう、“BGM”。
この公園には、BGMが流れているのだ。
それも、結構な大音量で。
これだけ、自然に恵まれた公園で、
子供がきゃっきゃとときめく声や、風で葉っぱや林がゆらぐ音、
鳥の鳴く声、虫の音、遠くから呼ぶお母さんの声、その他諸々…
それらを
全部、かき消してしまうほどの、J-POP。
一体だれが望んでいるんだ、と思われるけたたましいドラム音、
『愛』だの『君』だの、子どもが聞いてもちっともときめかないだろう、ねっとりした歌詞、
おそまつなラップ。
*誤解してほしくないのだが、わたしには好きなJ-POPはたくさんあるし、好きなラッパーだっている。
はっきりいって、イライラしかしなかったのだった。
耳障り極まりない。そもそも、場に似合わないのだ。
しかもだ、このだだ広い公園には、
ご丁寧にも、電柱にくくり付けられたスピーカーが、何本もある。
ちょっとスピーカーから、離れたぞと思いきや、別のスピーカーが現れる。
コンニャロー。
この公園の素晴らしさが、この音によって、どれだけ半減(全滅)するか。
運営者は、気がついているのだろうか。
スタッフは建物の外で、実際に遊んでみたことがあるのだろうか。
という残念な思いを胸に、
一度、管理事務所に『ボリュームを下げてもらえないでしょうか…』と頼んでみたことがあった。
が、効果ゼロ。のご対応だった。
なので、別の方法をとることにしてみた。
『アンケート用紙』だ。
期待できそうにもなかったが、それでも、やらないよりは…と思い、
訪れる度に、その想いをしたためて、アンケートBoxに投函したのです。
こつこつと。
さてさて、いつぶりだっただろうか。
久しぶりに公園へ来た時の事だ。
あのBGMが、変わっていたのだ。
アンビエントな音楽に。
ゴンチチ風なアレに。
ボリュームも下げられ、 ここの素敵な自然とも調和していた。
わたしにとっては、無音でもよいぐらいだったが、
それでも、とっても感動する出来事だった。
お願いを聞いてくださってありがとうございます。駒っこランドさん。
これからは、気持ちよく遊びに来れます!
何度も、来ますよ!
十和田市バンザイ。
*
十和田市馬事公苑
(地元では“駒っこランド”の愛称で親しまれている)