あれは確か小学校の2年生頃だったと思う
友達の家で遊んでいた時のことです。
三時のおやつに、紅茶とホットケーキを出してくれました。
どうやら友達のおうちは、とても品があり、お育ちもよかったようで、
紅茶はソーサー付きで匙と角砂糖がのり、
ホットケーキには、ナイフとフォークがついてきました。
祖父母に育てられたぼくには、なかなか縁のないシチュエーション。
緊張しながらダイニングテーブルにつき、友人の方をうかがいながら、
見よう見まねで、紅茶をすすりました。
つづいて、友人の後を追うように
ホットケーキにシロップをかけて
ナイフとフォークをぎこちなく持って。
すると、友達のお母さんが、
クスクスと笑ったんです。
なんで笑われてるのか、すぐには分からなかったけど。
『ステーキみたいに食べるのね』
固まった。
なんだか、すごく恥ずかしかった。
耳が熱くなるのが分かった。
それは、ホットケーキの切り方のことで、
普通は、十字にナイフを入れて、(時計でいうと12→6、9→3のように)
4つ切りにして食べるんですね。
そんなことを全く知らない僕は、
端から、平行に口に入りやすい大きさに切って食べたのです。
友達のお母さんの笑い方は、決して馬鹿にしたようなモノではなくて、
微笑ましくとらえている笑い方だったのだけど、
それでも、十分、きまりが悪かった。
それ以来、ホットケーキを食べる時は、決まって思い出してしまう。
これ、俗にいうトラウマっていうやつですかね。
それでも、結構イイ思い出だと、今では思えます。
ちなみに、大人になった今でも、よくホットケーキを食べますが、
お茶は、マグカップにどぼどぼと入れ、
ホットケーキは、大皿に小さく焼かれたケーキが積まれていき、小皿にとって食べる
…のが、わが家のスタイルです。